確定申告と株・・・特定口座から損失の繰越控除まで徹底解説!
2017.9.21
株取引で利益が出た場合は税金がかかりますが、必ず確定申告が必要というわけではありません。そこに関係してくるのが、株式投資を始める時に証券会社で開設する「口座の種類」です。
そして、株取引で損失が出ても確定申告した方が良い場合もあります。
特定口座の特徴や種類とは?株取引と確定申告について詳しく説明します。
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この記事の目次
確定申告が不要?株取引を始めるなら特定口座の方がメリットが多い!
株取引をしている人に必要な確定申告。しかし、その口座の種類によっては不要になる場合もあります。
口座には一般口座と特定口座がありますが、その違いは何なのでしょうか?
メリットが多いと言われる特定口座について説明します。
株取引の確定申告・・・特定口座には2種類あります!
2003年より導入された「特定口座」ですが、源泉徴収の有無によって2種類あります。
・源泉徴収あり特定口座
証券会社が株式等の売買損益にかかる税金の計算~納税を代行してくれるものです。原則として確定申告は不要です。
・源泉徴収なし特定口座
確定申告に必要な「年間取引報告書」は作成してくれますが、条件によっては自分で確定申告をする必要があります。
特定口座以外には一般口座もありますが、これは損益計算も確定申告もすべて自分で行わなければなりません。
確定申告が必要な個人事業主が株を始めるなら、どっちの特定口座がおすすめ?
個人事業主など国民健康保険に加入している人は、源泉徴収なし特定口座を選択した方が良いでしょう。
源泉徴収なし特定口座を選択した場合、自分で確定申告をしなくてはなりませんが(20万円を超える利益が出た場合)、その時に株の所得を申告することで国民健康保険料の金額が高くなるからです。
源泉徴収なし特定口座であれば、問題ありません。
株取引の確定申告が不要の「特定口座」は一般口座よりもメリットが多い?
株の確定申告を自分自身で行う場合は、「年間取引報告書」を提出する必要があります。
特定口座であれば、株などの利益・損を計算して「年間取引報告書」を作ってくれますが、一般口座だとその書類を自分で作らなくてはいけません。
特定口座は一証券会社につき一口座作ることができるようになっています。
源泉徴収あり特定口座であっても、確定申告をした方が良い場合もあります
源泉徴収あり特定口座で株取引をしていたとしても、確定申告をした方がよいケースもあります。
それは
〇譲渡損失の繰越控除の特例を受ける場合
〇利益が所得控除(基礎控除など)の範囲内に収まる場合
などです。
源泉徴収あり特定口座にもデメリットはあります
面倒な確定申告が不要の源泉徴収あり特定口座ですが、株取引によって利益が発生した時にはすぐに税金が引かれた状態になってしまいます。そのため、その分は投資にまわすことができません。これがこの口座のデメリットです。
確定申告で必要な税金の計算・・・株で利益が出た場合について説明します!
一般口座で株取引をしている場合、又は源泉徴収なし特定口座で20万円を超える利益が出た場合は確定申告が必要となりますが、税金はどのくらいかかるのでしょうか?
実際に利益が出た場合について計算してみましょう!
株取引で利益が出た場合の確定申告・・・税金について説明します!
株売買によって利益が出た場合には、税金がかかります。
その税金には、2種類あります。
〇譲渡所得課税
売却益にかかる税金で、税率は20.315%です(2017年現在)。
売却益は
売却代金-(取得価格+購入時の手数料)-売却時の手数料
で計算します。
〇配当課税
配当にかかる税金で、配当金の20.315%(2017年現在)が課税されます。
一般口座は確定申告が必要!株で利益が出た場合の税金について計算してみましょう
株取引で利益が出た場合は、利益に対して20.315%の税金が課税されますが、その内訳は所得税が15.315%、住民税が5%となっています。
実際に取引した場合について考えてみましょう。
100円×5,000株=50万円分をある証券会社(売買手数料は無料)で購入したとします。
その後株価が100円から120円に上がった時に売却したとすると
120円×5,000株=60万円分、差し引き10万円分の売却益を得たことになります。
この売却益10万円に対して20.315%が課税されるので
100,000円×20.315%=20,315円が税金となり、手元に残るのは79,685円になります。
証券会社によっては売買手数料がかかることもあります。
株で利益を出しても確定申告をしなかった場合、後で税務署から連絡が来る可能性が高いです
源泉徴収なし特定口座で株取引をし、300万円の利益が出たと仮定します。その場合は確定申告が必要になりますが、もししなかった場合はどうなるのでしょうか?
特定口座を開設している金融機関は、その年度におけるすべての取引状況を国税庁に報告しています。そのため、確定申告しないと後日税務署から連絡が来るのは間違いないでしょう。
証券会社に支払う手数料には2種類あります
株取引をする場合の手数料には、2種類あります。それは「株を売買する度に手数料がかかるプラン(約定ごとプラン)」と「1日ごとの定額プラン」です。
頻繁に売買しない人は、約定ごとプランの方が良いと考えられますが、1日のうち何度も売り買いする人は定額プランを選んだほうがお得です。
証券会社の手数料は、窓口よりもインターネットの方がかなり安くなっています。担当者によるアドバイスが必要な人は窓口を選んだほうが良いでしょう。
株などの譲渡所得の考え方とは?
株式は譲渡所得にあたりますが、これは所得税を計算する上での区分になります。資産を売却したことによって得たお金を指していますが、不動産やゴルフの会員権なども含まれます。
基本的に譲渡所得とは「いくらで購入して、いくらで売却したか。」ということになります。購入金額よりも売却した金額の方が大きい場合は譲渡所得がプラスとなり、所得税の課税対象となるのです。
確定申告は不要?株取引で損失が出た場合について
株取引で損失が出た場合は、基本的に確定申告の必要はありません。
しかし、「譲渡損失の3年間の繰越控除」を行うことによて、税金が戻ってくる可能性もあります。
株で損失が出た場合の確定申告について説明します。
株取引で損失が出た場合は確定申告不要?
株取引で損失が出た場合は、確定申告はしなくてもよいことになっています。
しかし、確定申告をして損失を繰り越しておくことによって、利益が出た年にその分控除ができるようになっています。
これを「譲渡損失の3年間の繰越控除」と言いますが、3年間のうち取引が行われていない年があっても確定申告をする必要があります。
確定申告の損失の繰越控除を行えば、株取引で利益が出た時の税金が安くなるのでしょうか?
「譲渡損失の3年間の繰越控除」を簡単に言うと、利益を損失で相殺するということになります。
2015年に売却益が30万円の損失だったとします。
2015年度の確定申告は-30万円で行います(損失の繰越)。
そして2016年は売却益が50万円とすると、繰越が適用となり、+50万円-30万円=+20万円となります。繰越となった30万円分の税金が減るのです。これを3年間行うことができます。
複数の証券会社を利用していて株の損失がある人は、確定申告をしましょう
源泉徴収あり特定口座を利用していても、複数の証券会社を利用している場合は確定申告が必要になることもあります。
例えばAとBという2つの証券会社の源泉徴収あり特定口座を利用していて、Aで損失、Bで利益が出ていると仮定します。Aの方は損失でも、Bの方では利益が出ているので自動的に税金が引かれています。しかし確定申告で損益通算をし、Bで源泉徴収された税金を取り戻すことができるのです。
詳しい方法は、国税庁ホームページに掲載されています。
損失の金額次第では、譲渡損失の繰越控除をしてもそれほど戻ってこない可能性も?
譲渡損失の繰越控除をすることによって税金は戻ってきますが、確定申告の手続きが面倒だという人も多いでしょう。
実は年間損失の金額によっては、将来戻ってくる金額はそれほど多くありません。1,000円の場合だってあります。
損失額が大きい場合は戻ってくる金額も大きくなりますが、譲渡損失の繰越控除は手間がかかることを理解した上で行うようにしましょう。
確定申告に必要な「年間取引報告書」の内容とは?
株取引で確定申告をする場合に必要な「年間取引報告書」。特定口座を利用している人は証券会社から送付されてきます。
そこには、確定申告書への記載が必要な「年間の総収入金額」「総所得価額及び所得又は損失の額」「信用の別」などが書かれています。
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