資産・負債・資本から見る会社の経営状態や貸借対照表について
2017.10.8
資産・負債・資本からはいったいどんなことがわかるのでしょうか?
資産や負債などの勘定科目のグループの分け方やその内容とは?わかりやすく処理するためのポイントを紹介します。
資産や負債の比率からは会社の経営状態である安全性を見る事ができるようです。
スポンサーリンク
こんな記事もよく読まれています
-
確定申告の収入はいくら以上で申告が必要?申告期間なども解説!
毎年2月~3月に行われる確定申告。 人によっては手続きを行うことで還付金として戻ってくる場合も...
スポンサーリンク
資産・負債・資本それぞれの分類や違いについて
資産・負債・資本の違いにはどんなものなのでしょうか?
どのように分けるべき?貸借対照表での記載の仕方とは?
会社の一定時点の財政状態を知るためにはこの貸借対照表がとても重要なものとなります。
資産・負債・資本とは?会社の財産となる資産について
資産は、会社が持っている全財産のことを言います。現金、預金、株式や、土地、自社ビル、社用車、商品、設備、債権などが資産となり、貸借対照表では左側に記載されます。
資産は大きく分けると、「流動資産」「固定資産」「繰延資産」となります。
流動資産は、短期間に出入りする資産であり、現金そのものや、普通預金、当座預金、有価証券、受取手形、売掛金などのほか、商品や製品や原材料、未収金、前払金、立替金、仮払金などがあてはまります。
固定資産は、長期間において出入りがない資産となり土地や建物、設備などのほか、営業権、商標権、著作権などがあてはまります。
繰延資産は、本来は費用となるものがいったん資産に計上され数年間にわたって償却される費用となります。開業費や社債発行費などが繰延資産となります。
資産には、目に見えるものと見えないものがあります。
資産・負債・資本とは?負債はマイナスの財産
負債は、会社のマイナスの財産や借金となります。この負債となる借金をすることで起業することができたり新規事業に投資ができたりします。
銀行などからの融資を受けること、お金を借りることは負債となります。負債は「流動負債」「固定負債」のふたつに分けられ、増えたり減ったりする変動が大きい支払手形、買掛金、短期借入金、未払金などは流動負債となります。
一方、固定負債は借金の返済に期間が時間的に余裕のあるもの銀行などから長期的な融資を受けている借入金、社債、退職給付引当金などが該当します。
資産・負債・資本とは?資本は元手となるもの
事業を始めるときに出資した元手となるものを資本と言います。出資したこの資本に毎年の利益が加えられていき、損失が出た場合は引かれます。
お金を支払う義務があるものが負債となり、お金を支払う義務のないものが資本となります。
企業に出資された元手と今までの利益の合計を足したものが資本金です。
資産・負債・資本を表したものが貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)
貸借対照表は、会社の持っている財産や借金を読み取ることができるものとなり左側は資産を表し、右側に負債と資本の合わせたものが総資本になります。
現金、預金、有価証券、売掛金などの流動資産と建物、機械、土地などの固定資産は右側に表します。
買掛金、短期彼入れ菌などの流動負債、社債、長期借入金などの固定負債、資本金、利益準備金、利益余剰金などの資本は左側に表します。
流動負債+固定負債+資本=総資本(右側)となります。
資産・負債・資本の流れがわかる貸借対照表
バランスシートとも呼ばれる貸借対照表ですが、企業の財政状態を決算時に会社はどんな資産を持っていて、その財産の元となる負債や純資産はどのようにして集めたのかがわかるものになります。
純資産がマイナスの場合、債務超過の状態であり、倒産のリスクが高くなります。
貸借対照表により、お金の調達先と何に使ったかの内訳や安定性、支払能力などの会社についての情報を把握することができます。
資産や負債などの科目とは?勘定科目のグループ分けを紹介
資産や負債などの科目にはどのようなものがあるのでしょうか?
勘定科目のグループの分け方や所属が同じものを分け方とは?
どのグループにも属さない勘定科目の分け方のポイントを紹介します。
資産や負債などの勘定科目のグループ分けについて
会社でのさまざまな取引は、勘定科目という項目に当てはめて処理をします。勘定科目は「資産」「負債」「純資産」「費用」「収益」の5つのグループに分けることができます。
貸借対照表は、会社の財政状態を記した書類となり「資産」「負債」「純資産」がこちらのグループとなります。
「費用」「収益」は損益計算書のグループとなり、事業者にどれだけの利益や損益があったかがわかる経営成績を記した書類となります。
簿記に記帳するときの資産や負債の科目とは?資産の勘定科目
資産の勘定科目にはこのようなものがあります。
現金事業用の現金やすぐにお金に換えることができるもの。他人振出の小切手、公社債の満期利札、郵便為替証書など。
当座預金事業用の当座預金。
定期預金事業用の定期預金。
その他の預金事業用の普通預金、通知預金、外貨預金、郵便局の通常貯金、定額貯金など。
受取手形売上に基づいて発生した手形債権。
売掛金売上に基づいて発生した営業上の未収入金。
有価証券事業に関連して取得した公社債、株式など。
棚卸資産商品や製品、原材料などの期末残高、消耗品費から減算した未使用の消耗品。
前払金現物の引取りより前に支払った金額や翌年分以降に経費とされる前払保険料、前払家賃など。
貸付金事業用の資金を他人に貸し付けた場合の債権。
建物店舗、工場、倉庫などの事業用の建物。
建物附属設備建物に付属する電気設備、冷暖房設備、給排水設備、内装設備等。
機械装置製造設備など、事業用の機械及び装置。
車両運搬具営業用車両やトラック、フォークリフトなどの車両及び運搬具。
工具器具備品事業用の工具や器具、備品。
土地事業に関連して使用される土地。
事業主費事業用の現金などから家計に渡した生活費や家事関連費のうち、家事分として必要経費から除外した金額など。
簿記に記帳するときの資産や負債の科目とは?負債の勘定科目
支払手形仕入や物品の購入に基づいて発生した手形債務。
買掛金商品を掛けで仕入れあとで代金を支払う義務のあるもの。
短期借入金1年以内に返済予定の借入金。
預り金お金を預かり、あとで支払う義務のあるもの。所得税預り金、社会保険料預り金など。
未払金消耗品や固定資産の購入代金などのような仕入代金以外の未払金。
未払費用給料や通信費、広告費などの費用の未払い分
その他流動負債その他の重要性の低い負債。
資産や負債の科目をきちんと仕訳するには?
借方と貸方の金額が必ず一致する貸借対照表ですが、仕訳をするには勘定科目をきちんと把握する必要があります。
左右の金額が一致するのに対して、項目の数は同じになるわけではないので注意しましょう。
貸借対照表の勘定科目は、必ず資産・負債・純資産のいずれかとなります。所属が同じものどうしで仕訳をすることがあり、現金を当座預金から引き出した場合は同じ資産科目同士で仕訳となります。
資産・負債・資本・収益・費用に分けることのできない勘定科目
基本的には、資産・負債・資本・収益・費用のグループに勘定科目は分けることができますが、評価勘定、混合勘定、対照勘定、未決算勘定、決算勘定は単純に分ける事ができないものとなっています。
評価勘定は、資産であれば貸方に記載され、資本の場合は借方に記載されます。
混合勘定は、資産・負債と,収益・費用が混ざっているものになります。
対照勘定は、2つの勘定がペアになっていて、同じ金額で同時に発生し同時に消滅する勘定となります。
未決算勘定は、最終的に処理する勘定科目や金額が決まっていない一時的に使う勘定となります。
決算勘定は、決算のときに帳簿を締切るために設定される勘定となります。
資産や負債の比率からはどんな事がわかる?色々な計算方法
資産や負債、資本の比率からはどんなことがわかるのでしょうか?
負債比率や自己資本比率などの計算方法や、比率から見る会社の状態について紹介します。
適正水準や改善が必要な範囲はどこからどこまで?
資産や負債の比率とは?負債比率の計算式
財務分析をする上で、中長期的な安全性を測ることができるのが負債比率となります。
自己資本に対する他人資本となる負債の割合がわかります。DEレシオ、レバレッジ比率、ギアリング比率とも呼ばれています。
自己資本比率とは反比例の関係となり計算式は以下の通りです。
負債 ÷ 自己資本 × 100=負債比率(%)
負債比率から、負債の返済余力が分かり負債比率が低いほど返済余力が高く、財務の安定性があります。
財務の安全面を考えると、負債比率は100%以下であることがよいとされています。この数値が低いほど借金の少ない会社となります。
資産や負債の比率とは?自己資本比率
自己資本比率は、企業の総資本に対する自己資本となる純資産の割合を表します。財務体質の安全性を見る事ができますが、業種によって水準は異なるのでチェックするときには同業種の競合企業と比較するといいでしょう。
この比率を上げるためには、税引き後利益の蓄積である剰余金を増加させたり非効率な資産を圧縮するかなどの対策が必要です。
(自己資本÷総資本)×100=自己資本比率(%)
自己資本+他人資本=総資本
資産や負債の比率の適正水準とは?改善が必要な範囲
負債比率が100%以下であれば、自己資本で全ての負債を返済できているので問題はありません。
101%~300%の範囲内であれば標準水準となり、無理のない返済計画であれば問題はありません。
改善の必要があるのが、301%~600%の範囲となります。すぐに支障がでるわけではありませんが300%以下に収まるよう改善しましょう。
すぐに改善の必要があるのが601%~900%の範囲となります。901%以上の場合は、資本欠損の可能性があり、経営改善をしてください。
自己資本がマイナスの場合は、経営改善を行う必要がありそのままにしておくと会社は倒産となります。
資産や負債の比率からみる安全性分析について
会社の資金繰りの余裕や財務の健全性を測ることができる安全性分析ですが、この分析をする計算はひとつではありません。
自己資本比率は総資本に対する自己資本の割合となり、負債比率は自己資本に対する負債の割合になります。
自己資本は高いほどよく、負債比率は低い方が良いとされていますが無借金経営であれば自己資本比率100%、負債比率は0%になります。無借金経営であればいいというわけではなく、設備投資を行って利益を出せるのであれば借り入れを行って事業を行うといいでしょう。
しかし、追加投資して利益をあげられない場合は無借金経営の方が良いものとなります。
資産や負債などの状態がわかるバランスシート
貸借対照表(バランスシート)からも、企業の安全性を確認することができます。会社の資産がどのような構成で成り立っているのかを表す貸借対照表のバランスが崩れている場合は倒産の危機が近付いていると言えます。
上下のバランスや左右のバランスをみることによって倒産する危険性や企業の安全性を判断することができます。
企業が倒産してしまう理由には手元に現金がなく、支払いが滞ることがあげられます。自己資本で運営しているような場合は支払いに困る事が少ないので安全と言えるでしょう。
また、お金を借りていて返済期限が迫っている場合に返せなければ会社は倒産となります。手元に現金がなくとも株や売掛金があれば現金を用意できるので、倒産とはなりません。どれだけお金を支払う能力があるかが肝となります。
- カネの悩み
- PREV
- 資産と費用の違いやその関係性を正しく理解する
- NEXT
- 法人税の中間納税とは?勘定科目と仕訳の方法