助成金の勘定科目や仕訳をするときの会計処理について
2017.10.11
助成金や補助金などの勘定科目はなんになるのでしょうか?
助成金を使って固定資産を購入したときの仕訳や会計処理の方法とは?
課税対象となるのはどんな場合?社会福祉法人のメリットとは?
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助成金の勘定科目や仕訳方法とは?圧縮記帳の意味について
助成金はどのような勘定科目となるのでしょうか?
助成金を受領したときの経理処理の方法や圧縮記帳として処理する理由とは?
助成金として処理をする日にちやポイント、注意点などを紹介いたします。
助成金の勘定科目とは? 仕訳の方法
公的な助成金や補助金を受け取った場合は、会計上の処理と税務上の処理が違う場合があります。
まずは助成金と補助金の違いについて説明します。
助成金は、要件を満たしたものであれば原則だれでも受け取れるものであり補助金は、申請をしたとしても審査に通過しなければ受け取れません。
どちらも国や地方公共団体からの支払われる返済不要のお金となりますが、使用用途などを含め、その違いをきっちりと確認しておく必要があります。
勘定科目は、助成金・給付金など異なる名称のものであっても「補助金等」とされることが多いのは実質的には同様の性格を持っているからです。
助成金の勘定科目の仕訳は「未収入金」と「雑収入」
経費補助金や助成金を受け取るような場合の会計処理の仕方とはどんなものなのでしょうか?
助成金を申請し、50万円の交付が決定した場合は雑収入として計上します。相手方は未収入金となります。
雑収入は、少額であり重要性が低い収入を計上する勘定科目と思うかもあしれませんが、補助金や助成金のような多額なもののように単発であり継続性が認められないものについては雑収入として計上できます。
実際に入金があった時は、未収入金を消す会計処理を行います。
助成金の勘定科目となる「雑収入」の仕訳は圧縮記帳
補助金を使って固定資産を購入した場合は、購入金額から補助金の額を引いたものを記帳する圧縮記帳となります。
補助金を利用して、事業に必要な固定資産を買った場合の経理処理を圧縮記帳と言います。
補助金には、特定の固定資産の購入などについて給付する施設補助金がありは固定資産の購入代金となるので直接の損金とはなりません。そのため、税法上は課税対象となり受贈益となってしまいます。それでは補助金の本来の目的とはならないため、施設補助金の効果を活かす固定資産の圧縮記帳の方法で処理をします。
助成金の勘定科目となる「雑収入」と仕訳する日にちとは?
助成金の支給が決定されると、支給決定通知書が送付されます。支給決定通知書には支給日が記載されているのでその支給決定日時点で経理上の処理を行いましょう。
通知が来て約2週間以内に支給決定日時となっていることが多いようです。
助成金は、受給申請をしてから早ければ1ヵ月、遅いと6か月くらいの審査期間となり問題がなければ支給決定通知書が届くので節税対策等をしている場合は決算の時期を予測して対策を取りましょう。
助成金の圧縮記帳となる計算方法や注意点とは?
圧縮記帳の算式
補助金をもって取得した固定資産の帳簿価額×(返還不要の補助金の額/固定資産の取得のために要した金額)=圧縮限度額
補助金の効果を最大限にする圧縮記帳ですが、免税措置が採られ非課税になるわけではないので注意しましょう。
減価償却額が圧縮された減価償却額となるので償却費は小さくなります。各期の課税対象額は増加するので、支払う税額は多くなり補助金等を得た際に支払うはずだった税金を後になって支払うものとなります。
圧縮記帳は非課税措置となるのではなく、税の繰り延べとなります。
助成金の勘定科目は課税?助成金のメリットを活かすには?
助成金の勘定科目は課税となるのでしょうか?課税対象とならないのはどんな場合?
補助金や助成金の支給かされたときの仕訳方法のポイントとは?
助成金の正しい仕訳方法を紹介します。
助成金の勘定科目は課税対象となる?それとも対象外?
助成金・補助金・給付金などは会計上同じ「収入」の扱いとなります。売上などを足した収益から損益となる費用を引き課税が行われますが、対価としての収入ではないため消費税はかかりません。
国や地方公共団体の補助金は原則として課税対象とはなりませんが、法人税法上の収益事業に充てる場合は課税対象である収益事業の収入に含まれます。
民間の助成金、企業や個人の寄附金も、固定資産を取得することを目的とした助成金や寄附金である場合は収益事業のために使用する固定資産であっても収益事業の収入に含めることはできません。
助成金の勘定科目が課税となる所得税や法人税
補助金や助成金を受けとった場合、経理上「雑収入」として計上しますが所得税や法人税は課税対象になります。
消費税は、サービスの提供に見合う対価として受け取るお金に対して課せられる税金なので補助金や助成金は課税対象になりません。
しかし、補助金の場合は対象となる経費の一定割合部分に対して支給されるので法人税には課税とならないケースもあります。
補助金や助成金の勘定科目は消費税区分を課税対象外にする必要あり
補助金や助成金の支給かされたときの仕訳方法はこのようになります。
(創業補助金が100万円支給された場合)
借方に普通預金100万円貸方に雑収入100万円となります。
補助金は消費税がかからないので、消費税の課税対象者は貸方の消費税区分を対象外とする必要があります。
ここで対象外にしておかないと、補助金に対して消費税を支払うことになってしまい補助金の効果が薄れる原因となります。
機械や設備など高額の資産購入する場合もこのような処理をしてしまうと、補助金に対して全額税金がかかってしまうことになります。
助成金の仕訳の方法は2段階?支給が決まった時と支払われた時
助成金の会計処理方法は、受けることが確定した場合と支払われた時と仕訳をする必要があります。
会社が200万円の助成金を受けることが確定したら、借方に未収金200万円、貸方に雑収入200万円と仕訳をしましょう。
助成金に関する最初の仕訳は、支払われたときではなく助成金の支給が決まった段階となります。
実際に会社に対して助成金が支払われた時に、借方に現金預金200万円、貸方に未収金200万円の仕訳となります。
助成金は消費税の非課税売上げとなるため、受け取った助成金の消費税額を計算したり処理したりする必要はありません。
補助金や助成金に税金がかかるのはどんなとき?
補助金や助成金を受給して受給した金額と同額または、受給した金額以下の少額の経費を使った場合は収入=経費となるため税金はかかりませんが、補助金や助成金を使って1つあたりの値段が30万円以上となる高額な設備、機械、看板等を購入したときには減価償却費として経費にする必要があるため全額分を経費にすることはできません。
この場合は、受給金>経費となってしまうケースもあります。
このように助成金のメリットを減少させないために圧縮記帳という制度があります。
助成金の勘定科目とは?社会福祉法人の仕訳処理
社会福祉法人の助成金や補助金の勘定科目は何になるのでしょうか?
助成金の勘定科目の仕訳処理方法とは?
補助金や助成金の仕訳方や非課税対象となるものが多い社会福祉法人について紹介します。
助成金の勘定科目は何になる? 社会福祉法人の国庫補助金特別積立金
社会福祉事業を行うことを目的として、設立される社会福祉法人は固定資産を購入するときに市役所から補助金を受けることができます。
特定の固定資産を購入するために補助金を受けた場合は、いったん収入計上とします。そして、同額の国庫補助金等特別積立金積み立て、目的となった固定資産の減価償却に合せて本体と同じ計算式で取り崩しを行います。
固定資産を購入した会計年度にその金額の全てを損金として処理をすることはできません。
国庫補助金等は、長期にわたる経費の助成となります。
社会福祉法人助成金や補助金の勘定科目を使い固定資産を購入した時は?
国庫等の補助金を受け、固定資産を取得する場合の仕訳はどのようにしたらいいのでしょうか?
200万円の固定資産を50万円の自己資金と150万円の補助金で取得した場合の仕訳
借方に預金150万円、国庫補助金等特別積立金積立額150万円、器具及び備品200万円となり貸方に設備等補助金収入150万円、国庫補助金等特別積立金150万円、預金200万円となります。
法人資産の減価償却の仕訳の方法は、企業会計と同じように行います。
借方に減価償却費100万円、貸方に建物100万円とした場合、補助金がある資産を減価償却する仕訳の方法は3/4となる75万円が国庫補助金の減額分となります。
借方に国庫補助金等特別積立金75万円、貸方に国庫補助金等特別積立金取崩額75万円となります。
補助金や助成金の勘定科目で社会福祉法人の車両を購入する場合
車両の購入金額200万、助成金150万、残りの50万は自己負担のような場合、助成金は直接車の販売会社などに振り込まれることが多く施設は自己負担分を販売会社に支払ったというようなときの処理で自己負担分の50万だけ仕訳をしてはいけません。
収入と支出は相殺せずに総額で処理をする必要があります。
借方に現預金150万円、車両運搬具200万円、貸方に施設整備補助金収入150万円、現預金200万円となります。
助成金相当額については、国庫補助金等特別積立金を積み立てるので借方に国庫補助金等特別積立金積立額150万円、貸方に国庫補助金等特別積立金150万円となります。
社会福祉法人と株式会社の大きな違いとは?
社会福祉法人と株式会社は、事業目的や所轄庁、資金などさまざまなものに違いがあります。
社会福祉法人の場合、事業目的は社会福祉事業なのに対し株式会社は、自由となります。所轄庁は、社会福祉法人が都道府県や政令指定都市、中核市となり、株式会社はなし。
資金にも大きな違いがあり、社会福祉法人は寄付金や補助金が主なものに対して株式会社は株式・債券発行になります。
社会福祉法人は他に比べて非課税項目がとても多い
法人の事業活動においても、色々な税金がかかります。しかし、社会福祉法人であれば非課税項目が多いのがポイントとなります。
法人の所得に対してかかる法人税はすべての所得にかかりりますが社会福祉法人の場合は収益事業に関する所得だけが法人税の課税対象となります。それ以外の所得に対しては法人税がかかりません。
消費税は、原則課税を選択した場合は通常どおり課税となります。しかし、簡易課税を選択した場合は大半が非課税の対象となります。領収書の発行や契約書を作成したりするときの印紙税も社会福祉法人の場合はかかりません。
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