支店を登記することによるメリットとは?税金についても解説!
2017.9.26
経営者として事業拡大のために、本店以外に支店や営業所の設置を考えることもあるでしょう。
しかし、支店を設置するには登記が必要だと言われていますが、登記不要の営業所よりもメリットは多いのでしょうか?
支店設置で税金がどのくらい増えるのか・・・支店を登記したことによるメリット・デメリットについて考えてみましょう。
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支店を設置する場合は登記申請が必要です
営業所と支店の一番の違い・・・それは登記が必要かどうかでしょう。
もし支店を設置する場合、その前に必要な手続きはあるのでしょうか?登記申請は本店を管轄している法務局で良いのでしょうか?
支店登記に関する疑問にお答えします。
支店と営業所の違い・・・支店は登記が必要です
商法の上での支店とは、「本店から離れて独自に営業活動を決定し、体外的取引をなしえる人的物的組織」となっています。そして登記が必要です。
それに対し営業所は、登記の必要はありません。本店が管理することになります。
支店の登記はどこで申請する?
本店と管轄の異なる支店を設置した場合、まず本店の所在地で登記をします。そして、支店の所在地でも登記の申請をしなくてはいけません。
支店所在地における登記事項は「商号」「本店の所在場所」となっています(同じ管轄内の支店の場合は「支店の所在場所」も必要)。
東京都内で支店の登記申請をする場合について
東京都内で支店を設置する場合の登記申請について説明します。
《例》
本店の所在地が東京都中央区で、東京都新宿区に新しく支店を設置する場合
本店を管轄する法務局は「東京法務局」になります。そして支店を管轄する法務局は「東京法務局新宿出張所」になるので、登記はこの2か所に申請します(東京法務局のホームページに商業・法人登記の管轄区域一覧が掲載されています)。
支店の登記をする場合は、取締役会での承認が必要です
支店設置の登記申請をする場合、支店設置に関する事項(設置する時期や場所などについて)を取締役会等で決定しなくてはいけません。そしてその議事については、議事録を作成することになっています。
取締役会を設置していない会社は、取締役の過半数の一致が必要になります。
支店には支配人を置くことができます
株式会社の支店には、支配人を置くことができます(取締役会での承認等が必要)。ただし任意規定となっているので、支配人を絶対置かなくてはいけないということではありません。
支配人は代表取締役と兼務できないことになっていますが、それ以外の資格については制約は少ないと言えます。
支店登記することで得られるメリットとは?
支店を設置するには登記が必要ですが、いろいろな手続きが必要となります。
しかし、そこまでして得られるメリットは何なのでしょうか?会社にとって本当にプラスとなるのでしょうか?
支店登記によるメリットとデメリットについて説明します。
登記申請が必要な支店設置のメリットとは?
支店を設置することによるメリットはたくさんあります。
支店は新しい会社として登記されることになります。権限の範囲内であれば、契約などについても本社を通さずに決済できるので、迅速に処理をすることができるのです。
それに対して営業所は、登記申請は不要ですが、本社の承認が必要になります。
支店設置の登記申請は融資を受ける場合でもメリットとなります
金融機関から融資を受ける場合、その条件として「その金融機関の近隣で永続的な営業拠点として活動していること。」が求められる場合があります。そのために、支店設置の登記をした方がよいと考えられます。
さらに公共入札や他の取引の場合でも、上記のことが条件の一つとされているケースもあります。
支店登記はメリットばかりではありません
支店を設置した場合、こんなデメリットもあります。
保険関係では、労働保険や雇用保険の手続きが必要になります。
さらに、支店の移転や廃止、商号や本店の変更の場合でも、登記費用がかかります。
定款や株主総会議事録なども保管しなくてはいけません。
出張所であれば登記しなくてもよいのでしょうか?
支店は、本店とは一定の範囲内で独立しています。出張所という名称であっても独立性があれば、支店として登記する必要性があります。
反対に、支店という名称であっても、支店としての独立性がないのであれば、登記は不要となります。
レンタルオフィスの場合、支店登記の必要は?
支店としてレンタルオフィスを考える場合もあるでしょう。
しかし、レンタルオフィスを借りても権限が小さい場合は、支店登記をする必要はありません。
契約等の権限を持った活動拠点にしたい場合は、支店登記が必要になります。
支店登記と税金の関係について説明します
支店登記した場合のメリットについて説明しましたが、気になるのは税金についてでしょう。
支店を登記することによって、支払う税金の額はどう変わるのでしょうか?
支店の登記申請をすることによって生ずる税金について説明します。
支店登記した場合にかかる税金①法人都民税の均等割
法人住民税は、たとえ経営上赤字であっても支払う義務があります。この分を「均等割」と言います。
資本金が1,000万円以下で従業員数が50人以下の場合、東京都では年間7万円かかることになっていますが、同一の都道府県又は市区町村以外の場所に支店があると加算されます。
支店登記した場合にかかる税金②所得割
支店を設置した場合、均等割だけではなく所得割(住民税の場合は法人税割)も必要になります。
今までは本店所在地の都道府県や市区町村だけに納付していた税金ですが、支店を設置した場合は支店所在地にも分割して納付する義務があります。
支店登記した場合にかかる税金③償却資産税と源泉所得税
備品や車両など事業で使用するものの中でも消耗品に分類される資産にかかる税金を「償却資産税」といいますが、これは本店や各支店で管理し納付します。
会社が従業員の代わりに給料から天引きして納付している「源泉所得税」は、給与の計算を各支店で行っている場合は、その管轄している税務署に支払わなくてはいけません。
支店登記をするかしないかは業種によっても違いがあります
支店登記は業種によっても多少違いがあります。
例えば、小売り・飲食業の場合は会社機能を持たないため、支店登記をしない場合が多いようです。
反対に建設業などは、その地域での信用力を求められるため、支店登記をする会社が多いようです。
金融機関は必ず支店登記をしているのでしょうか?
「〇〇支店」という名称がついているからと言っても登記しているかどうかは業種によって違うということお話ししましたが、金融機関については「支店」と呼ばれる店舗であれば、支店登記されています。これは銀行法に関係していると言われています。
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