確定申告で損益通算できるものとは?株やfxについて解説!
2017.10.9
株などで損失が出て確定申告をする必要がなくても、損益通算や繰越控除を行うことによって節税することができます。
しかし、fxや不動産所得など株以外のものでも損益通算を行うことは可能なのでしょうか?損益通算を行うためには、どんなルールがあるのでしょうか?
損益通算で確定申告を行う場合の注意点について詳しく説明します。
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確定申告で損益通算①株の場合
株で損をした場合、基本的には確定申告を行う必要はありません。
しかし、確定申告で損益通算や繰越控除を行うことで、節税につなげることができるのです。
株で損益通算する場合の確定申告について詳しく説明します。
確定申告の損益通算とは?株の利益は何所得になる?
損益通算は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の金額に赤字が出た場合に、この損失額を他の所得の利益から引くことができる制度です。株の利益は「譲渡所得」になるため、損益通算できるのです。
「申告分離課税」など同じ課税方式の場合は、損益通算できます(例:日本株の売却益と外貨MMF・外債の売却益など)。
株の損益通算で確定申告を行う場合の注意点
株や投資信託で損失が出た場合は確定申告をする義務はありませんが、損失を繰越することで利益が出た年の分から控除ができるので、節税することができます。
この繰越控除は3年間できますが、そのために3年間のうち取引がない年でも確定申告をしなければなりません。
株の損益通算は確定申告期限後でも可能?
株で損失が出た場合の損益通算や繰越控除は確定申告の期限が過ぎてからでもできます。
確定申告をしなかった人が期限後に確定申告書を提出する方法を「期限後申告」といいます。
また、確定申告書を提出した後で損益通算を行う場合は「更生の請求」となります。ただし、源泉徴収あり特定口座を利用している場合はできません。
同じ特定口座内で損益通算できる「上場株式配当等受領委任契約」とは?
源泉徴収あり特定口座を利用していても、同じ口座に自動的に配当金が入金されるわけではありません。
配当金受け入れを希望する場合は、上場株式配当等受領委任契約(特定口座に配当金を受け入れる契約で、これにより特定口座内で配当金と譲渡損の損益通算をすることができます。)を結ぶ必要があります。
株の損益通算でメリットを得られる場合とは?
源泉徴収あり特定口座を利用していて配当金の受け入れを行っている場合は、自動的に損益通算されているので確定申告をしてもメリットはないでしょう。
しかし、複数の証券会社で株取引を行っている場合や配当金を銀行などで受け取っている場合には、確定申告で損益通算すると税金が還付される可能性もあります。
確定申告で損益通算②fxの場合
株取引で損失が出た場合は確定申告で損益通算を行うことができますが、fxで損失が出た場合も同じようにできるのでしょうか?
fxにおける損益通算の考え方とは?株との損益通算も可能?
fxの場合の損益通算について考えてみましょう。
確定申告の損益通算はfxでも可能?
fxには「取引所fx」と「店頭fx」がありますが、fxと同じ雑所得に区分される金融商品と損益通算することができます。
この雑所得は「商品先物に係る雑所得等」となっており、同じ金融商品にはCFDやバイナリーオプション、日経225先物やTOPIX先物などがあります。
例えば、fxで損失が出ていても日経225先物で利益が出ているのであれば、確定申告で損益通算しましょう。
確定申告でfxと株取引は損益通算できない
株取引とfxを両方行っている人もいるでしょうが、株は「譲渡所得」となるため、株取引と雑所得となるfxは損益通算することができません。
ただし法人口座であれば、fx、株、事業所得などと損益通算が可能です。
fxで確定申告・・・損益通算して3年間で繰越が残った場合について
fxで利益が出た場合は「雑所得」となりますが、事業所得と似ている部分があり、利益から経費を引いて計算することができます。
この経費には、パソコン代や通品費などを計上することができます。
fxで損失が出た場合も3年間繰越することができますが、3年間で繰越できなかった全額は切り捨てられることになります。
申告分離課税となっている先物取引の種類とは?
法律で申告分離課税と決まっている先物取引は「商品先物取引の決済」「金融商品先取引等の決済」「カバードワラントの差金等決済」となっています。
具体的には「CFD」「商品先物(金・プラチナ・とうもろこし・原油等)」などがあります。
複数のfx業者で取引を行っている場合は、それぞれの業者での損益を合算することも可能です。
fxの損失分を申告し忘れた場合について
fxで利益が出たので確定申告を行ったものの、損失分を申告し忘れるという人も多くいるようです。
そんな場合は「修正申告」を行いましょう。それにより、税金が還付されるかもしれません。
修正申告はインターネットで行うことも可能です。
確定申告で損益通算②不動産の場合
不動産所得もあり、事業所得もあるという個人事業主の方も多くいるでしょう。
そんな場合、どちらかで赤字だった場合は確定申告で損益通算を行うことができるのでしょうか?
不動産所得がある場合の損益通算について考えてみましょう。
確定申告における損益通算は不動産所得でも可能?
アパートを経営していて不動産所得があり、さらに飲食業による事業所得もある場合、一方では黒字でももう一方で赤字であれば、損益通算を行うことができます。
しかし、前項でも述べましたが損益通算は「事業所得」「不動産所得」「譲渡所得」「山林所得」が赤字のときのみと決まっているので注意しましょう。
不動産所得で赤字が出た場合の確定申告で、損益通算できないものとは?
不動産所得で赤字が出たとしても、すべて損益通算できるとは限りません。
例えば「別荘等のような生活に必要不可欠ではない不動産の貸付けにかかるもの」は損益通算できないこととなっています。
国税庁のホームページにも記載されているので、確認しましょう。
不動産売却により損失が出た場合でも確定申告で損益通算はできる?
不動産を売却して利益が出た場合は、確定申告をする必要があります。
「売却益」がある場合は「譲渡所得」となり、確定申告を行って「譲渡所得税」を支払う必要があります。
反対に、不動産売却によって損失が出た場合は確定申告不要ですが、他の所得と損益通算できる可能性もあります(一定の要件が決まっています)。
不動産所得の確定申告を税理士に依頼する基準について
不動産所得で確定申告を行う場合、税理士に依頼するかどうかは「規模」を基準にして考えるとよいでしょう。
5棟10室以上の事業的規模であれば、青色申告特別控除額が65万円となります。そのためには複式簿記による帳簿をつけることが必要となるため、税理士に依頼するパターンが多いようです。
この65万円の控除によって、税理士への報酬を支払うことも問題ないでしょう。
不動産所得がマイナスとなる場合とは?
不動産所得がマイナスとなるのは、アパートなどを新築で購入した初年度となる場合が多いようです。
初年度が赤字となるのは、不動産取得税や登録免許税の支払い、入居者募集のための仲介手数料が発生することが原因です。
2年目以降の不動産所得は、入居者が全室埋まっている限り赤字にはならないと考えられます。
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