事業者による消費税の納税義務について、免除や相続など
2017.10.15
事業者が国に納める消費税の納税義務とは、設立時の資本金額や2年前の課税売上高の条件によって判断されます。
ですから、事業者がある一定の条件を満たしている場合は、その納税義務は免除されます。
また、相続によって事業を継承した場合についても、ある条件によって消費税の納税義務は発生するのです。
そこで、事業者による消費税の納税義務について、免除や相続、または還付についてなどご紹介致します。
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消費税の納税義務と設立時の資本金額の関係
消費税とは、国民が広く負担すべきものであり、事業者も国に納めなくてはいけません。
その消費税の納税義務とは、設立時の資本金の金額や2年前の課税売上高によって判断されます。
そこで、消費税の納税義務と設立時の資本金額の関についてご紹介致します。
資本金の金額により消費税の納税義務者になる
会社が消費税を納税するかどうかは、2年前の課税売上高で判断されます。
しかし、資本金1,000万円以上で設立した会社については、設立時から消費税の納税義務者となってしまいます。
また、課税売上高5億円超の会社の子会社についても設立時から納税義務が発生してしまいます。
資本金が1,000万円未満だと消費税の納税義務はない
新設の法人の場合は、資本金の額のみで設立決算期と第2期の課税・免税の判断をします。
ですから、資本金1,000万円未満の新設法人については、設立当初の2年間は消費税の納税義務はありません。
これは、小規模な個人事業主の負担や税務執行コストへの配慮として定められています。
資本金額に限らず、消費税の納税義務者になる場合
資本金が1,000万円未満であっても、前事業年度の前半に多くの売上があり、1年前の事業年度の前半の売上高が1,000万円を超え、なおかつ給与や賞与の支払額が1,000万円を超えていた場合には、通常より1年早く消費税を納めなくてはいけません。
納税義務を判断する課税期間と基準期間
消費税が課税される区切りとなる期間のことを「課税期間」といいます。
個人事業主の課税期間とは、1月1日から12月31日までの1年間になります。
また、個人事業主の場合、課税期間の前々年が消費税を納める課税事業者になるかどうかを判断する「基準期間」となります。
輸入取引の納税義務者について
輸入取引の納税義務者とは、その輸入品を保税地域から引き取る者のことをいいます。
ですから、輸入取引の納税義務とは事業者だけには限らず、一般の人が輸入品を保税地域から引き取った場合についても消費税の納税義務が発生してしまいますので気を付けましょう。
消費税の納税義務が免除される免税事業者について
消費税の納税義務がある課税事業者に対して、納税が免除される事業者を免税事業者といいます。
この免税事業者になるには、ある一定の条件を満たさなくてはいけません。
そこで、消費税の納税義務が免除される免税事業者についてご紹介致します。
消費税の納税義務が免除される条件とは
消費税の納税義務は、事業者がある一定の条件を満たすことで免除される場合があります。
前々事業年度における課税売上高が1,000万円以下の事業者に対して、納税義務が免除されるので、新規事業者に関しては原則として納税が免除されます。
しかし、これには例外の条件もありますので注意しなくてはなりません。
消費税の納税義務を受けるか免除を受けるか選択する
消費税の課税事業者となるか、免除を受けられる免税事業者となるかは選択することができます。
課税事業者であれば、もし仕入れなどの消費税額が、課税売上高の消費税額を超えてしまった場合は還付を受けることができるからです。
しかし、1度選択をした場合は2年間変更はできません。
個人事業者が法人になると消費税納税義務は免除される
個人事業者が会社を法人にした場合は、消費税の考え方では新規企業となりますので、法人設立から2年間は消費税の納税が免除されます。
ですから、個人事業者を2年やって、その後に会社を法人にすれば消費税は4年免除になる可能性があるのです。
免税事業者の消費税の還付について
納税義務を免除された免税事業者の場合、仕入れなどの消費税額が、課税売上高の消費税額を超えてしまった場合でも還付を受けることはできません。
還付を受けることができる課税事業主になるには、所轄する税務署長に「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。
消費税の簡易課税制度について
消費税法上の仕入れとは、商品の仕入の他に、事務所の家賃や水道光熱費などといった経費も含まれます。
ですから、仕入は売上に比べて集計に手間がかかるため、2年前の売上が5,000万円以下である一定規模以下の中小事業者については、「簡易課税制度」と呼ばれる簡単な納税方法が適用されます。
消費税の納税義務、相続による事業継承の場合
相続によって事業を継承した場合において、消費税の納税義務とはどのようになるのでしょうか?
また、相続人が複数いる場合は、どのような考え方になるのでしょうか?
そこで、相続による事業継承の場合の消費税の納税義務についてご紹介致します。
相続による消費税の納税義務とは
消費税の納税義務とは、相続によって事業を継承した場合において、相続開始年であっても被相続人の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば、納税義務が発生してします。
また、相続人が複数いる場合は、遺産分割の協議が成立するまではその事業を共同承継しているものとして、各相続人ごとに法定相続分に応じた割合で計算されます。
相続による消費税の納税義務の免除について
相続があった年の基準期間の課税売上高が1,000万円以下である相続人であっても、その基準期間における課税売上高が1,000万円超の被相続人の事業を承継した場合、納税義務は免除されません。
しかし、相続のあった年の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であった場合や相続があった年の基準期間において、事業を行っていない場合については納税義務が免除されます。
遺産分割による相続の消費の納税義務とは
相続財産が未分割の場合、その財産の分割が成立するまでは、被相続人の基準期間における課税売上高は、各相続人の法定相続分に応じた割合を乗じた金額により判定されます。
また、相続があった年の翌年に遺産分割が確定した場合については、その年の納税義務はその年の前年12月31日の現状況に基づいて判定されます。
相続財産が未分割の場合について
遺産分割の協議が確定していない場合とは、相続財産が未分割の状態になるので、被相続人の事業を承継する相続人は確定することができません。
基本的に未分割の場合、各相続人が被相続人の事業を共同して継承したものとして取り扱うこととなっています。
相続での簡易課税制度の適用について
相続による事業承継において、消費税の納税義務が発生した場合、例え被相続人が簡易課税制度を選択していたとしても、相続人がその制度を引き継ぐことはできないので、相続が発生した年の12月31日までに簡易課税制度選択届出書を提出しなければ適用されません。
大きな課税売上高が生じる事業を引き継ぐ場合は、様々な注意が必要です。
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