ボーナスカットによる退職者の流出と経営方針の行方
2017.9.30
社員のボーナスカット。やむを得ない事情があるかと思いますが、ボーナスカットは社員の生活に重くのしかかりますので、全くわだかまりなしで実行するのは難しいかもしれません。
ボーナスカットによる退職者の流出問題、ボーナスカットと法律との関係、適当な理由を付けで実施してしまう危険性について解説します。
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ボーナスカットは退職者を増やす原因に繋がる
様々な事情により、社員のボーナスをカットせざる負えない場合もあると思います。
会社を存続させるためにはやむを得ないですが、ボーナスカットにより退職者が増える可能性が出てきます。特に有能な人材ほど水面下で転職活動を行っている場合がありますのでご注意を。
ボーナスカットをすると退職者が増える!その理由とは
日本では年に夏と冬の2回のボーナス支給が慣習となっており、30代の平均額は年間70~80万円程度となっています。
それが急にボーナスカットとなると当然年収も低くなってしまいます。ボーナスありの会社と比べると、5年後10年後の将来を見据えても大きな差が生じるため不安が募り、退職する気持ちへと意向するのです。
ボーナスをカットすると退職の引き金となる
退職理由として挙げられるボーナスカット。どんなにやりがいのある仕事であっても、ボーナスカットは直接生活に響いてくるため退職の引き金となります。
住宅ローンの返済をボーナスで補っている家庭なら尚更でしょう。しかし転職することによって今より給与が減る場合も多いため、なかなか退職に踏み込めないという人がいるのも現状です。
ボーナスカットを目論むと有能な人材こそ早々に退職する
仕事のできる人が退職してしまうのは会社にとって大きな痛手となります。しかし、自分の仕事量に対して給料が少ないと感じてしまうと彼らのモチベーションは下がり、退職する気持ちへと揺らいでいくのです。
人件費を下げようか・・・などうっかりつぶやいていませんか?有能な彼らはその言葉を聞き逃しません。きっとこっそり転職活動を行っているはずです。
退職予定者のボーナスカットは可能なのか
もし規定に「賞与の評価期間に勤務していても、支給前に退職した労働者には賞与を支払わない」とされていれば、法的にも有効となるためボーナスカットも可能になります。
実際、支給日に在籍している労働者のみにボーナスを支給すると規定している会社は多く、ボーナス支給前に退職予定ならば、ボーナスを支払う必要はないとされます。
ただ退職日が支給日より後の場合、全額ボーナスカットなど極端な扱いは問題視されますのでご注意ください。
退職予定の社員、ボーナスカットではなく減らすことはできるのか
ボーナスの算定や支給額、支給対象者の決め方などは事業主によってある程度設定できます。人事評価によってボーナスを減給させることも可能です。
ただし8割カットなど大幅な減給は法的にも許されず、減給は2割程度までとされています。
ボーナスカットは法律違反になるのか、社員に納得させる方法とは
様々な事情によりボーナスカットをせざる負えない場合もありますが、そもそもボーナスカットは法律違反になるのでしょうか。
告知なしのボーナスカットは法律に違反?現物支給の場合は?ボーナスカットと法律との関係について調べました。
ボーナスカットは法律に違反しないのか
ボーナスは必ず支給されなければならないものでもなく、法律で義務付けられているものでもありません。ボーナスの支給は会社の就業規則の定めに従い、それが根拠となって支払われるものです。
ボーナスを支給しないからと言って法律に違反するわけでもなく、就業規則に「会社の業績不振」などを考慮要素として挙げているのであば支給する義務はありません。
ボーナスカットが法律違反になる場合とは
ボーナスカットは会社の事情によって変わってくるものですが、法律違反になるかどうかは、雇用時の契約がポイントとなります。雇用時に給料数か月分など確かな明記がある場合はボーナスを支給しなければなりません。
しかし会社が傾いている場合など、ボーナスカットをせざる負えない場合もあります。その際は事前の告知と本人の同意が不可欠となり、同意を得ずにカットしてしまうと、労働者は差額を支払う権利を主張できるようになります。
ボーナスカットの代わりに現物支給でも法律的には問題はないのか
業績不振により現金がないため、自社商品をボーナスとして支給する会社は珍しくありません。
ただ、これは労働協約の中の例外として、現物支給が認められるとの取り決めがある場合のみ認められるものです。
労働基準法では「賃金は通貨で直接労働者にその全額を支払わなければならない」と定められています。
告知なしにボーナスカットするのは法律違反になるのか
法的にはボーナス額の説明義務はありませんので、告知なしにボーナスカットを行っても問題ないとは言えます。
ただ、就業規則などの規定を大きく下回るボーナスカットは、法的にも問題がありますので訴えられる可能性はあります。
カットの理由は業績不振や個人評価など様々だと思いますが、熟考した上で妥当な金額であれば特に問題はないと言えます。
ボーナスカットを法律に違反することなく社員に納得させるためには
ボーナス支給に向けて最大限努力することが大前提です。
それでも費用が捻出できないのであれば、正直に事情を全社員に説明し同意を得るしかありません。日頃社員との関係が良好であるなら、誠実な対応を見せることで納得してくれるはずです。
ボーナスカットの理由はともかく、会社の評判は落ちると覚悟を
適当な理由を付けてボーナスカットをしてしまうと、社員は不信感を募らせモチベーションも低下してしまいます。会社の評判が下がる可能性もあるのでご注意を。
また、ボーナス支給が実は節税対策になる理由、ボーナスカットの理由を説明して給料を高めに設定するメリットについてもご紹介します。
ボーナスカット成功のカギ、社員が納得するための理由を付け加える
一定のボーナスを支給するのではなく、業績に応じてボーナスを支給する「業績連動型」の方がボーナスカットもスムーズに進みやすいものです。
しかしそのようなボーナス制度を導入するためには社員の理解を得ることが必要になります。ボーナス金額の基準をはっきり示し、会社がおかれている現状を説明することで社員も納得するでしょう。
適当な理由を付けてのボーナスカットは社員のモチベーションも低下する
ボーナス支給は法律で決められるものではないので、ある程度は会社の判断で決められるものです。
しかし適当な理由を付けて、利益を確保する為だけの理由でボーナスカットを押し通してしまうと、社員のモチベーションは低下しますし、会社に対して不信感を抱きます。ストライキを起こして会社に圧力をかける可能性もありますのでやめましょう。
理由はどうあれボーナスカットを実施すると会社の評判は下がる
ボーナスカットをしたことで社員に不満が出るのは当然のこと。場合によっては、SNSを通して具体的に社名をだし、不満やボーナスカットによる愚痴を世界に向けて発信してしまう可能性もあります。
会社の悪評もすぐに広がるため、新入社員の確保も難しくなるかもしれません。
ボーナスはカットではなく支給することで節税対策に!その理由とは
ボーナスを支給することは企業の節税対策にもなります。それは、社員へのボーナスは通常「賞与」として経費に計上されるため、法人税上は損金となるからです。
ただし、節税対策として役員にボーナスを支給しても、役員賞与は損金と認められないのでご注意ください。
ボーナスカットの理由を説明して給料を高めに設定するメリット
基本給が高めに設定されている企業は、多くの場合ボーナスが支給されていません。
見方によっては、業績が悪いからといってボーナスが支給されない不安もありませんし、月給が大きく下がることもあまりないので、社員は一定の収入を得られるため安心かもしれません。
また企業側にとっても、ボーナス支給の手間も省け人件費も明確になりますので、経営計画も立てやすくなります。
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