誰にも聞けない中小企業経営者の叫び

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休業補償とは?労働者も事業主も守る労災保険について

2017.10.7

労働者が通勤中や仕事中の突然のケガや病気などによって仕事を休まなくてはならない場合、大切なのが休業補償です。
事業主は従業員に対して休業補償など様々な義務があります。
そんな事業主の負担を軽減するのが労災保険です。
では、休業補償を受けるための待期期間や条件とは?またいつ支払われるのか?
そして、車による事故の場合、労災保険と自賠責保険のどちらを選ぶべきか?
労災と休業補償の関係についてご紹介致します。

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休業補償について、労災による補償が受けられる期間など

休業補償とは、労働者が通勤中や業務中にケガや疾病などによって働けなくなってしまった時の補償のことです。
そのような労災による休業補償には、受けるまでの待期期間や条件などがあります。
労災による補償が受けられる休業補償についてご紹介致します。

労災による休業補償が受けられる条件や期間

仕事中や通勤中によるケガによって働くことができない時や、それにより休んでいる間は賃金を受けていなかったり、労働基準監督署に労災の事故の認定を受けている場合は労災による休業補償が受けることができます。

 

また、休業補償の給付が受けられる期間とは休んだ日の4日目以降から医師の療養が必要だと認められる期間までになります。

労災保険の休業補償の待機期間とは

労災保険の休業補償について、ケガによって仕事を休んだ初めの3日間は待期期間となり、その対象にはなりません。

 

しかし、この3日間については、労働基準法の規定により会社が平均賃金の100分の60相当額の休業補償をすることが義務づけられています。

労災による休業期間は休業補償を受けること

休業補償の支給額とは、事故が起きた日や病気が確定する直前の3ヶ月間の平均賃金と休業している日数が基準となって計算されます。

 

ですから、休業期間でもこれまでの賃金の80%が支給されます。
労働者が休業中も安心して休めれるように迅速に対応しましょう。

労災保険とは、事業主のための保険

労働者を雇用する事業主は、労働者が負傷や疾病、死亡をした際に様々な補償を行うことが労働基準法の規定において義務づけられています。

 

労災は、そんな補償のための事業主の費用負担を軽減するために、業務による災害時による補償についての肩代わりをしてくれます。

通勤災害の場合の補償とは

労働者が通勤時にケガなどをした場合は、事業主に休業に対する補償の責任はありません。

 

これは労災保険から休業に対する補償を受けることができるまでの3日間の待期期間に、事業主が休業の補償をする必要がないということです。

休業補償(労災保険)はいつ支払われるのか?

労災保険による休業補償とは、いつ支払われるのでしょうか?
また、労働災害を防止するためにも、事業主には労働安全衛生法に基づく責任があります。
事業主が労災による休業補償を請求するための方法についてもご紹介致します。

労災保険の休業補償とは、いつ支払われるのか?

労災保険の休業補償とは、休業した3日間が待期期間となり、4日目から支給されるようになります。
待期期間については、労働基準法の定めにより、事業主が休業補償を行わなければなりません。

 

休業補償の給付は、給付基礎日額(平均賃金)の60%×休業日数
休業特別支給金は、給付基礎日額(平均賃金)の20%×休業日数

労災での休業補償はいつ支払われるのか?請求方法について

労災での休業補償はいつ支払われるのか気になるところですが、まずは請求しなくては支給されません。

 

休業補償を受けるためには、労働基準監督署へ請求書を提出しましょう。
その後、労働基準監督署において調査が行われ、保険金が給付されるようになります。

労災による休業補償は事業主の場合、いつ支払われるのか?

会社の事業主が休業補償を受けるためには、確定申告書の写しを保険会社に提出した後に、振り込みにより手続きが取られます。

 

ただし、自営業の場合は、実通院日数やケガの状況などをもとに休業日数が判断されるため、診断書なども必要になります。
このため、支給については1ヶ月ほど遅れてしまう可能性もあります。

労働災害を防止するためには

労働災害を防止するために、事業主は労働安全衛生法に基づいて安全衛生管理責任を果たす必要があります。
労災事故が発生した際には、事業主は労働基準法によって労働者に対して補償する責任があります。

 

また、労働基準監督署に事故の報告をしないなどの法違反があると、刑事責任が問われることがあります。

特別支給金や社会保険との調整について

休業補償の待期期間を終え、4日目からは休業補償給付にさらに給付基礎日額の20%が加算されます。
これを「休業特別支給金」といいます。

 

また、休業補償の給付と厚生年金保険の障害厚生年金などが併せて支給される場合は、休業補償の支給額に年金の種類別に定められた一定の率をかけた額が支給額となります。

交通事故による休業補償は労災保険か自賠責保険か

従業員が業務中や通勤中に交通事故によってケガをしてしまい、働くことができなくなってしまった場合も休業補償はあります。

 

この場合、労災保険を使うのか、自賠責保険を使うのかは選ぶことができます。
車による事故の休業補償についてご紹介致します。

労災による休業補償と自賠責保険について

従業員が交通事故にあってしまった場合、会社としては従業員の労災申請がスムーズにいくように必要な添付書類の用意をしたり、事業主証明書に押印してあげましょう。

 

業務中の災害で労災保険を使用せずに相手の保険から補償を受ける場合でも、4日以上の休業をしたのであれば、会社は労働基準監督署に「労働者死傷病報告」を提出しなければなりません。

自賠責より労災の休業補償を選択するメリット

自賠責の補償額が100%に対して、労災の休業補償給付は80%ですので労災を選ぶと不利に思われるでしょう。

 

しかし、休業が長引く場合は自賠責の限度額が120万円であることに対して、労災の休業補償給付は最長で1年6ヶ月というのはメリットになります。

事業主が労災での自賠責保険で請求する休業補償

自営業などの個人事業主の方が休業補償を請求する場合、確定申告書や納税証明書、課税証明書などが必要になります。

 

会社経営者や役員の場合は、役員報酬の中に「労働の対価としての収入」があれば、それが休業補償の対象になります。
これには、どのような仕事によっての給料かということを証明しなくてはなりません。

会社の車で従業員が事故を起こすと事業主の責任

従業員が仕事中に起こした交通事故は、事業主にも責任があります。これが業務災害です。

 

また、従業員が通勤に社用車を使って交通事故を起こした場合も、事業主には「使用者責任」や「運行供用者責任」があります。
そして、これも業務災害と判断されることがあります。

休業補償給付は事業主が代理で受け取ることができる

休業補償給付については、事業主が代理で受け取ることが可能です。

 

これは休業補償給付の手続きに時間がかかるため、労働者の生活のために事業主がその分を立て替えておき、後日立て替えた分の休業補償が事業主に振り込まれるというものです。
このことを「受任者払い制度」といいます。

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