バイトは簡単にクビにできる?法律上のルールを理解しましょう
2017.9.20
勤務態度が悪いバイトをクビにしたい・・・そんな事態になることもあるでしょうが、バイトであっても簡単にクビにすることはできないことになっています。
法律上、どんな理由があればバイトをクビにすることができるのでしょうか?予告なしにクビにした場合は給料を支払う義務は生じるのでしょうか?
バイトをクビにできる理由や給料の支払いについて詳しく説明します。
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バイトは簡単にクビにできると考えるのは間違いです!
正社員ではないバイトは、簡単にクビにすることができるだろう・・・そう考えていませんか?
実は、バイトであっても簡単にクビにすることはできません。
バイトをクビにできるのはどんな場合なのか、その条件について説明します。
バイトとはいえ、簡単にクビにすることはできません!
アルバイトやパートで働く人であったとしても、やむを得ない事由がないとクビにすることはできません。
仕事ができないなど能力不足が原因だとしても、すぐに解雇するこはできないと法律上定められているのです。
過去の判例によると、スタッフが能力不足だとしても、企業や店舗は教育・指導等で改善を試みたり、配置転換を考えなければならないならないとしています。
バイトをクビにしたい・・・その前に解雇禁止事項を確認しましょう!
バイトなどの従業員をクビにしたい・・・円満に解雇するためには、条件を満たしていなければなりません。
その中には「法律の解雇禁止事項に該当しないこと。」という条件があります。
解雇禁止事項には「国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇」「女性であることを理由とする解雇」などがあります。
解雇予告をせずに、バイトをクビにできる場合もあります
従業員をクビにしたい場合には、解雇予告や解雇予告手当の支払いをしなくてはいけませんが、以下の場合はその必要はありません。
・従業員が犯罪を犯した場合
・他の従業員に悪影響を与える恐れがあるなど労働者の責めに帰すべき事由がある場合
・地震などの天変地異の発生により、事業継続が不可能な場合
しかし、労働基準監督署に「解雇予告除外認定」をもらうための申請をしなくてはなりません。
契約期間が決まっていないバイトをクビにすることは可能?
契約期間を決めずにアルバイトを雇用した場合、後でトラブルになるケースが多いといいます。
契約期間を決めている有期雇用のバイトは、契約満了で契約解消するということができますが、契約期間の締結をしなかった場合は正社員並みの解雇理由が必要になることもあります。
バイトをクビにしたら、本人代理の弁護士から電話が・・・
バイトのクビに関する問題で、こんな例もあります。
ある会社では創業して間もない頃にバイトを雇ったそうですが、就業規則も決まっておらず、雇用契約書もないまま働いてもらうことにしたそうです。
しかし、勤務態度が悪く、注意しても改善されなかったのでクビにしました。
その数日後、本人の代理で弁護士から電話があり「解雇理由は何なのか、解雇予告の手続きはしていたのか確認したい。」との内容だったようです。勤務態度に対し注意した証拠も残しておらず、解雇理由を明記した就業規則もなかったので、会社には金銭的に解決するしか方法はなかったようです。
このような事態は雇用契約書を交わし、解雇に関する就業規則を作成していれば起こらなかったでしょう。
バイトをクビにする場合には、こんな理由が必要です!
バイトであろうと、正当な理由がないとクビにすることはできません。
勤務態度が悪い、無断欠勤が多い・・・このような理由でクビにすることはできるのでしょうか?
クビにする場合の理由や解雇の種類について説明します。
バイトをクビにできる理由とは?
バイトをクビにしたい場合でもきちんとした理由が必要となります。
クビにすることができる理由をいくつかご紹介します。
・普通解雇
従業員の勤務態度が悪い、遅刻や欠勤が続いた場合は解雇することができます。
・懲戒解雇
従業員が会社の備品を破損した場合など、会社に対し多大な損害を出した場合も解雇することができます。
・契約満了
バイトの契約期間は、一般的に3カ月から半年間くらいで設定されているケースが多いでしょう。その契約期間が満了となれば、自由に契約を打ち切ることができます。ただし、雇止めの問題が発生する可能性もあります。
こんな行為をしたバイトは、理由なくクビにできます
従業員が、自分が働いているお店の商品を盗むことを「内引き」と言いますが、これは犯罪行為にあたります。
本人は見つかっていないと思っていても、他の従業員が見ている場合が多く、判明した時点でクビにすることができます。
スーパーなどのレジ担当者の中には、家族や友人が来店した時に、商品をスキャンしたように見せかけてお会計を済ませる行為をする人もいるといいます。
後々棚卸の時に発覚し、クビとなった従業員も多いようです。
経営不振という理由でバイトをクビにする場合の条件とは?
経営不振による解雇は「整理解雇」と言われていますが、有効となるためには4つの条件があります。
まず、人員整理の必要性があること。そして解雇を回避するために努力していること、解雇の対象者の選定が客観的及び合理的な基準で行われていること、労働組合又は労働者に対して事前に説明を行い、納得を得られるよう協議を行ったこと、です。
これは過去の判例を通じて確定した要件です。
経費削減でバイトをクビにする場合の基準とは?
経費削減のためにバイトをクビにする場合は、辞めてもらう人の基準をはっきりと決めておきましょう。
パートやバイトは、時給の高い人の方が生産性が高いでしょう。そのため、まだ働く始めたばかりで、時給が安い人に辞めてもらうほうが良いでしょう。その方が会社の運営上のダメージは少ないと言えます。
遅刻や無断欠勤を理由にバイトをクビにする場合の手順とは?
従業員の遅刻や欠勤が多いことを解雇理由にする場合でも、きちんと手順を踏まなくてはいけません。
まずは、無断遅刻、欠勤の内容を本人へ確認し、その理由を聞きます。その上で処分を決定しなくてはいけません。
処分は「軽い処分→重い処分→解雇」という流れで行いましょう。
バイトをクビにする場合の給料の支払いについて覚えておきましょう
バイトをクビにする場合でも正当な理由が必要になりますが、給料の支払いがどうなっているのでしょうか?
もし予告なしにクビにする場合には「解雇予告手当」として給料を支払わなくてはいけないことになっています。
そのルールや計算方法について説明します。
バイトを予告なしにクビにした場合の給料を支払いは?
労働基準法上では、正社員であってもバイトであっても「労働者」という扱いになっています。
解雇する場合には「解雇予告」が必要で、予告なしに解雇した場合には、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。
ただし、解雇予告が不要な場合もあります。
・日雇い労働者
・2カ月以内と期間を定めて使用される労働者
・季節労働者で4カ月以内の期間を定めて私用されている場合
・試用期間中の労働者
予告なしにバイトをクビにした場合の給料の最低額とは?
バイトやパートを予告なしにクビにした場合に支払う平均賃金は「直近3カ月間の賃金総額÷実労働日数」6割を下回らないようにと法律で決まっています。
この解雇予告手当には社会保険料はかからないことになっています。
バイトをクビにする場合に支払う給料「解雇予告手当」の計算方法
解雇予告の日数は、解雇予告手当を支払った日数分だけ短くすることができるとなっています。
解雇する場合は、30日前に予告するか、30日分以上の解雇予告手当を支払わなければならないと決まっていますが、以下のように計算することができます。
《例》11月30日をもって解雇する場合の必要となる解雇予告手当
〇10月31日に解雇を告げる⇒30日前の予告なので手当不要
〇11月10日に解雇を告げる⇒20日前の予告なので10日分の手当
〇11月30日に解雇を告げる⇒即日解雇となるので30日分の手当
解雇予告手当を払っても、クビが成立しない場合もあるのでしょうか?
解雇予告手当を支払えばクビにすることができる・・・そう考えている経営者も多いと言いますが、実際はそうではありません。
解雇予告手当の支払いは、あくまでも労働基準法の解雇の制約のためのものであって、解雇が法律的に有効かどうかは別のものとなっています。
労働契約法及び過去の判例により「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であるか。」を問われることになるのです。
懲戒解雇の場合でも、解雇予告手当を支払う必要があります
解雇予告手当の支払いは、普通解雇の場合だけではありません。懲戒解雇の場合も支払う必要があります。
労働基準法には「労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合については、解雇予告手当を支払う必要はない。」と書かれていますが、その場合は労働基準監督署の除外認定を受けなければなりません。
しかし、この認定を受けるのは難しく、懲戒解雇の場合でも支払うことが必要となります。
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