残業80時間超えが当たり前となっている管理職や社員の実態
2017.10.10
過労死ラインとされる残業80時間。
長時間労働を強いられる管理職や社員も多く、特に管理職は長時間労働だけでなく残業代が出ないなど多くの問題を抱えています。
残業80時間を超えた場合の健康診断、名ばかり管理職の実態、残業80時間超えによる健康障害とそれを防止する企業の取組などについて解説します。
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残業80時間、本来は健康診断ではなく医師の強制面接が必要
残業が月平均80時間にもなると、健康障害へのリスクが高まるだけでなく過労死する危険性も出てきます。
その場合は健康診断ではなく、医師による強制面接が必要とされていますが・・・。健康診断もやりっぱなしでは問題解決にならないことを知っておきましょう。
残業80時間を超えた場合の健康診断について
2~6ヶ月平均で月80時間を超える残業に関しては、健康診断ではなく医師の面接指導を受け、適切な事後措置を受けなければならないとされています。問診と心身の状況から判断し、脳や心疾患を予防するためでもあります。
残業80時間越えは健康診断ではなく医師による強制面接が必要
企業は、いつでも医師と面接できる体制を取っていること、そして医師と面接するよう強く要請することを社員に伝える義務があります。業績を上げるために社員は頑張って残業をしているのです。
残業80時間を超えた場合は強制面接、60時間越えであっても問診票を産業医にチェックさせるなど、過労による心身の不調を未然に防ぐことが必要なのです。
残業が80時間を超える社員に健康診断を促しても応じない場合は
経営者自身が残業削減を掲げ、仕事の優先順位を決めることが大切です。
また社員に対しても、業務命令で健康診断を受診させるように促し、従わない社員に対しては、懲戒処分も辞さない旨を伝えるべきです。そしてトラブル防止のためにも、指導内容や指導した時期についてしっかり記録しておくようにしましょう。
残業80時間になる社員への健康診断もやりっぱなしでは問題解決しない
健康診断を行ってだけでは問題を解決することはできません。規則にしたがって、部署ごとはもちろん、組織全体を見て対策を考えることが大切です。
そのためにも、職場内の健康管理への意識付けを徹底し、風通しの良い環境を創り上げていくことも必要ですし、管理者と連携をとりながら過重労働を防止することに努めることが重要になります。
過労死ラインになる残業80時間、健康診断前に倒れる危険性も
自殺以外の過労死で最も多いのが「心疾患」です。心筋梗塞や解離性動脈、狭心症など、どれも強い痛みが突然襲ってくるもので、処置が遅れると命の危険もあります。
次に多いのが「脳疾患」。クモ膜下出血や脳梗塞などがあげられます。いずれも突然襲ってくるものなので、健康診断を待たずに倒れてしまう危険性があります。
残業80時間にもなる管理職が多い理由、名ばかり管理職の実態
残業80時間にもなる管理職。管理職には残業代もないという言葉もよく耳にします。本当に管理職には残業代が発生しないのでしょうか。残業80時間を強いられる名ばかり管理職の実態、管理職と混合しやすい管理監督者との違いなどご説明します。
残業80時間超えに管理職が多い理由
80時間の残業は、土日の休みを入れた日数で割ると、毎日平均3時間以上も残業する計算になります。しかし多くの管理職は、残業代が付かず役職手当のみで長時間残業を強いられています。
管理職という責任を感じている社員ほど、今まで以上に頑張ろうとし、企業側もそれに甘えてしまうのです。
残業80時間を強いられる名ばかり管理職の実態
一番の問題は「名ばかり管理職」。
労働基準法で「管理監督者には残業代を支払わなくていい」とされています。管理者=管理監督者ではないのですが、企業側は労働者を管理職に任命して管理監督者として整理し、長時間労働を命じるだけでなく、残業代を支払わなくて済むようにしてしまうのです。
残業80時間の管理職に残業代を支払う義務はないのか
管理職が労働基準法上の管理監督者に該当しない場合は、企業側に残業代を請求することができます。管理者と管理監督者が混合しやすいので、管理職になると残業代が出ないという誤った認識が広まってしまうのです。
残業80時間、残業代を左右する管理職と管理監督者の明確な違い
労働基準法上の管理監督者は、経営者と一体的な立場であり、経営に直接かかわるような社内の要であるとされています。
管理職と言っても何かをする上で上司の了承を取る必要があるのなら、それは経営者と一体的な立場とはいえません。また、管理監督者はその地位にふさわしい賃金・待遇がなされる必要があるとされています。
残業80時間にもなる管理職に残業代を支払うことで新たな問題も
管理職と管理監督者の境目は実に曖昧です。しかし、「経営者と一体化ではない管理職には残業代を払う」としてしまうと、生産性が高く残業しないで済む人よりも、残業している人の方が給料が高くなってしまうという矛盾が生じてしまう問題が浮上してくるのです。
残業80時間超えによる健康障害、過重労働防止への対策とは
残業80時間超えによる過労死や健康障害。体にどのような症状が現れ始めるのでしょうか。残業80時間超えは適切と答える企業の割合や対策、その問題点。また、残業が80時間超える企業への立ち入り調査について調べてました。
残業が80時間超えるとどうなるのか
残業が80時間超えてしまうと、健康への影響が出てきます。長時間労働によって自律神経が乱れ、体のバランスを保つあらゆる器官に不調をきたすことで、胃痛や吐き気、頭痛やめまいなどの症状が現れはじめます。
これらは過労死のサインでもあります。早めに対策をとりましょう。
残業80時間超えは適切と考える企業の割合と問題点
厚生労働省が、過労死や健康障害が高まる時間外労働として目安にしている「80時間ライン」。企業側が月80時間は適切と考えている割合は約半数の49%という調査結果もあります。
残業を減らすなら人員を増やせば良いという考えもありますが、人件費もかかりますし人を増やすにも限界があります。良い人材が見つかる保証もないことから、一人当たりの生産を向上させるしか方法はないのかもしれません。
36協定関係なく残業80時間超え労働は可能になってしまう
時間外労働・休日労働に関する労使協定、いわゆる36協定ですが、休日労働を行わせることができる回数や時間数に限度がありません。
そのため、残業と休日労働を合わせて1ヶ月80時間を超える時間外労働を行わせることも可能になってしまうのです。それが36協定を締結していても、過労死ラインを超える過重労働を行わせてしまう原因の一つでもあるのです。
残業80時間超えによる過重労働防止に取り組む企業とその対策
7割の企業が過重労働防止に取り組んでいると答えています。対策としては、
・業務分担や作業手順の見直し
・管理職への教育
・正社員や派遣社員、パートを増やす
・残業を事前申請させる
などが挙げられました。人員を増やすには限界があるため、社内ルールの見直しを優先している企業が多いようです。
残業が80時間超える企業への立ち入り調査について
長時間労働による過労死や健康被害。その問題に歯止めをかけるため、政府は、1ヶ月80時間を超える残業をしている社員が1人でもいると疑われる企業に対して立ち入り調査を行うとしています。
ただ、監督官の数も限られるため、従業員による通報や悪質な場合など、一定の条件に当てはまる企業がまずは対象となります。
長時間労働による健康被害は深刻化しています。労災事故に発展してしまう前に、企業は何らかの対策を取る必要があるのです。
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