法人税・法人住民税・事業税の違いや計算方法を徹底解説
2017.10.12
法人税と一言で言っても、実際には「法人税・法人住民税・法人事業税」の3種類から成り立っています。
では、それぞれの税金の計算方法はどうなっているのでしょうか?法人税と法人住民税は損金不算入の税金と言われていますが、なぜなのでしょうか?赤字の場合でも納税義務はあるのでしょうか?
3つの法人税の違いや基本的な計算方法について説明します。
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法人税等とは?住民税や事業税についても理解しよう
法人として支払う税金といえば「法人税」ですが、法人税には3種類あります。
それが「法人税」「法人住民税」「法人事業税」ですが、その計算はどのように行うのでしょうか?
法人税の種類と計算方法について説明します。
法人税等の中にある法人住民税・事業税とは?
一般的に「法人税(法人税等)」と呼ばれているものの中には「法人税」「法人住民税」「法人事業税」があります。
個人であれば「法人税」は所得税、「法人住民税」は住民税と考えればよいでしょう。
「法人事業税」は法人のみに課税されている税金です。
法人税・法人住民税・法人事業税について詳しく解説①法人税(法人所得税)
法人税(法人所得税)は、会社の所得に対し課税される税金となっています。
中小法人以外の普通法人の場合の法人税は、所得に23.4%の税率をかけて求められます。
黒字であれば法人税を納付しますが、赤字の場合の法人税額は0円となります。
法人税・法人住民税・法人事業税について詳しく解説②法人住民税
法人であっても住民であることに変わりはありません。そのため、各自治体に住民税を納める必要があります。
法人住民税は地方税で、所得額に連動する「法人税割」と連動しない「均等割」があります。
以前は「利子割」がありましたが、廃止されています。
法人税・法人住民税・法人事業税について詳しく解説③法人事業税
法人事業税は、都道府県で事業を行っていることに対して課税されている税金です。
法人事業税額は、所得に法人事業税率をかけて求めます。そのため、赤字の場合は0円になります。
会社の規模にもよりますが、法人税の申告書と一緒に税理士に依頼している企業が多いようです。
法人税以外に会社として支払う税金について
法人税以外にも会社として支払う税金はいろいろありますが、その一つは「固定資産税」です。
1月1日の時点で、会社が保有している土地・建物・一定金額以上の償却資産に対してかかる地方税です。
その他に、自動車関連の税金(自動車税や自動車重量税など)もあります。
法人税等の「法人住民税」の計算方法について
法人税の中にある法人住民税は、個人の住民税とは違い、自分で計算して納税することになっています。
では、その計算方法はどうなっているのでしょうか?赤字の場合でも支払わなくてはいけないのでしょうか?
法人住民税の計算方法について説明します。
法人税等の計算①法人住民税の課税方式と計算方法について
個人の住民税は市町村に支払いますが、法人住民税は法人の所在地の道府県と市町村に支払うことになります。
法人住民税は、自分で納税金額を計算する「申告納税方式」となっています。
法人税割の税率は、その法人の規模や地方自治体によって違います。そして、均等割額もその地方自治体によって違います。
法人税等の計算②東京都の法人住民税について
法人住民税は「道府県民税」と「市町村税」を合わせた税金となっていますが、東京23区内にのみ事業所がある場合は「道府県民税」と「市町村民税」とを合わせて「都民税」と呼ばれています。
《例》
*東京23区内にのみ事業所がある法人の法人住民税
→都民税法人税割+都民税均等割
*神奈川県横浜市にのみ事業所がある法人の法人住民税
→神奈川県民税(法人税割+均等割)+横浜市民税(法人税割+均等割)
法人税等の計算③法人住民税の税制改正について
法人住民税率が改正されています(平成26年10月1日以降に開始する事業年度より)。
関係法令を確認するようにしましょう。
また、地方公共団体により税率等も違います。各都道府県・市町村のホームページに記載されているのでチェックするようにしましょう。
法人税に関する注意点~赤字の場合について~
3つの種類がある法人税のうち法人所得税と法人事業税については、赤字で法人所得がなければ課税されません。
しかし、法人住民税の均等割については、法人所得に対して課税されるものではないので、赤字であったとしても支払う必要があります。
法人税の税率は、法人の種類によって違う
法人税額は、所得に税率を乗じて求められますが、その税率は法人の種類によって違います。
〇普通法人(中小法人以外) 30%
〇協同組合 22%
〇公益法人等 22%
ただし、1年間に800万円までの所得金額については18%とするなどの例外もあります。
法人税及び法人住民税の損金不算入について
税金等の租税公課は損金算入できるものが多いのですが、法人税や法人住民税は損金不算入とされています。
では、その理由は何なのでしょうか?会計上の勘定科目はどうなるのでしょうか?
法人税及び法人住民税の損金不算入の理由等について説明します。
法人税や住民税は会計上損金不算入となる?
税金や賦課金、罰金などの租税公課を管理するために設けられている勘定科目の「租税公課」ですが、税法上費用にできるものとできないものがあります。
法人税と法人住民税は所得に対して課税されているものなので、税法上は損金不算入の税金と決められています。
そのため、法人税や法人住民税の勘定科目は「租税公課」ではなく「法人税等」を使います。
法人税や住民税が損金不算入とされている理由とは?
〇法人税や住民税は法人の所得から納税される予定となっていて、利益処分的な性格であると見られているという説。
〇法人税や住民税を損益算入した場合、所得金額が少なくなります。さらに所得が変わるたびに税収も変わるため、租税政策上良くないと考えられている説。
法人税・住民税以外の損金不算入の租税公課について
法人税や法人住民税以外にも損益不算入とされている税金等があります。
例えば「延滞税」「過少申告加算税、無申告加算税などの各種加算税」「交通反則金なとの罰金等」などについては損益へ算入することができません。
損金算入・損金不算入の注意点について
損金算入の注意点について説明します。
《役員賞与等について》
従業員の給与や賞与については全額が損金になりますが、役員については適正な金額以上の部分は損金に認められていません。
《交際費》
事業者の規模によって、損金算入の額が決まっています。
資本金が1億円を超える法人については、交際費全額が損金不算入となります。
資本金が1億円以下の法人については、交際費が400万円を超える部分全額が損金不算入となります。
個人事業に関しては、交際費全額を損金算入することができます。
欠損金の繰越について
青色申告の法人は、欠損金を繰越することができます。
欠損金が出た年の翌年以降9年間は所得金額から欠損金の額を差し引きすることができるのです。
ただし個人事業主の場合は、欠損金の繰越は3年間となります。
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