法人税の中間納税とは?勘定科目と仕訳の方法
2017.10.8
法人税を中間納税するときにはどんな方法があるのでしょうか?
中間納付の方法は自分で選ぶことができる?法人税の勘定科目や補助科目とは??
法人税の納付した金額が多いときに還付されたときの仕訳方について紹介します。
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法人税を中間納税するときの仕訳方法について
中間納税の法人税はどのように仕訳をしたらいいのでしょうか?
法人税の決算処理の仕方や追徴があった場合とは?
中間納税するときの選び方のポイントについて紹介します。
法人税を中間納税するときの仕訳とは?
決算で確定した利益に対し毎年、法人税・法人住民税・法人事業税などを会社は支払わなくてはいけません。
決算が年に1回の会社は、事業年度の中間に半年分の税金を前払い(中間納付)となりますが、税金を支払った時の仕訳はどのようになるのでしょうか?
法人税などの中間納付を行ったときは仮払法人税という資産グループの勘定科目を使って記帳し、、増加は左側(借方)となります。
年度の中間に法人税1万円を現金で中間納付した場合、仕訳は借方に「仮払法人税等」金額は1万円、貸方に現金、金額1万円となります。
中間納税で仕分けた法人税の決算処理
決算での利益に対し、法人税等の金額が確定したら費用として処理をします。の当期の法人税等の金額のうち一部は中間納付しているので、中間納付時に資産として計上した仮払法人税等を取り崩します。
借方に計上した法人税等は、貸方に計上した仮払法人税等よりも金額が大きいので貸方に差額がでます。当期の法人税等の金額のうち、中間納付では足りなかった未納部分を示す金額となるため差額は負債となり未払法人税等として処理をします。
中間納付で1万円支払い、決算で確定した法人税等の金額が2万円の場合は借方に法人税等、金額が2万円となり貸方に仮払法人税等、金額1万円、同じく貸方に未払法人税等金額、金額1万円となります。
中間納税の仕訳は法人税?個人事業者の場合は?
費用として処理をする税金ですが、法人の利益に対して課税される法人税の延滞税や加算税などは、損金としての処理はできません。
個人事業者の場合は、所得税や住民税は法人税等ではなく「事業主貸」という勘定科目で処理をしましょう。
どのように処理をしたらいいか迷ったときには、税理士や税務署などにきちんと確認して処理をするようにしてください。
法人税の追徴があった場合の仕分について
税務署に申告した法人税が実際よりも少なかったことが発覚した場合、追徴課税となり支払う税金が加算されます。
期限内に申告をしていて、納めなければならない税金が少なかった場合は過少申告加算税が加算されます。
期限内に申告を行わなかった場合は、無申告加算税が加算されます。法人税の申告は事業終了日の翌日から2ヶ月以内となっています。
また、申告額が少なかったり申告が遅れたりした事が悪質だと判断された場合には重加算税が加算されます。
追徴課税や延滞税は経費とはならないので、申告漏れや納付漏れをしない事が重要となり気づいた時は、すぐに対処することが一番の対処法となります。
中間納税の方法はふたつ選択するときのポイント
中間申告の方法は、前期の実績に基づく予定申告か当期上期の実績に基づく仮決算となっています。
納税者が自由に選択できますが、どちらを選んだらいいのでしょうか?
予定申告は、前事業年度の法人税額をベースとして月割りで予定納税額を計算する方法となります。前期と今期で業績がさほど変わらない場合は、予定申告がおすすめです。
予定納税額が10万円以下の場合は、中間申告が不要になります。
当期上期の実績に基づき仮決算をして中間申告をする場合は、期首からの上期6ヶ月を1事業年度とみなして仮決算をして利益・損失に基づいて法人税額を計算します。
業績不振のために前期実績での予定納税額を払うことが難しい場合は、仮決算のほうがいいでしょう。仮決算資料を提出していない場合は、自動的に予定申告で納税となります
法人税の中間納税勘定科目はどのように記載するべき?
中間納税をした法人税の勘定科目の処理の仕方とは?
勘定科目をわかりやすくするコツにはどんな方法があるのでしょうか?
法人税の勘定科目について紹介します。
中間納税する法人税の勘定科目とは?
法人税を中間納付する場合、勘定科目は「仮払法人税等」もしくは「未払法人税等」のマイナスとなります。
法人税の中間納税の時期は、その事業年度開始日から8月以内となり3月決算法人の場合は11月末日になります。
法人税の中間申告は年に1回となり、納付する中間法人税は年間分の法人税等の先払的なものなので「仮払法人税等」となります。
期末のときには未払となることが多く、一般的に未払法人税等のマイナスとして処理します。
法人税を中間納税するときの勘定科目について
・仮払法人税等(かりばらいほうじんぜいとう)
中間申告や予定申告による法人税等(法人税・法人住民税・事業税)の仮払税金を処理するための資産勘定となります。
また、仮払法人税等は、仮払税金(かりばらいぜいきん)とも言います。
中間申告義務がある法人は年度末に税額が確定する前に中間申告をしなくてはいけません。所定の方法で計算した税金額を仮払い中間納付します。
仮払法人税等は、この仮払税金を管理するための勘定科目です。
・未払法人税等(みばらいほうじんぜいとう)
決算時における法人税等(法人税・住民税・事業税)のうち、確定したけれど、まだ納付していない税額となる確定未納税額を処理する負債勘定となります。
法人税等の納付は確定申告時に行うので決算の時点では未払いとなります。
中間納税した法人税の勘定科目のポイント
法人税の中間申告・納付を行っている場合、仮払法人税等勘定(資産)を取り崩し未払法人税等勘定からこの分を差し引きます。
未払法人税等は、確定税額から、期中において前払いしているものをすべて差し引いた額を計上してください。
未払法人税等の計上金額の計算式
確定税額 - 中間申告による納付額(予定納税額または中間申告税額)- 利子や配当金に対する源泉徴収税額=未払法人税等の計上金額
未払法人税等勘定と仮払法人税等勘定については、適切な補助科目を使用するといいでしょう。
法人税を中間納税したのがわかりやすくなる補助科目とは?
同一勘定科目に集計されているものも、内容によっては決算などの集計作業をわかりやすくするために最初から補助科目を設定しておき区別する必要があると言えます。
未払法人税等は、法人税、県民税、市民税、事業税などのように補助科目を設定しておくことで次期に繰越すときに区別する事ができます。
法人税等は、法人税や住民税などが含まれていたり中間納付したものがあったりと決算を集計するときにわかりにくいものとなるので、確定法人税や中間法人税の補助科目を設定しておくと便利です。
法人税を中間納付しなくてもいい場合とは?
法人税の中間納付や中間申告をしなくていい対象にはどんなものがあるのでしょうか?
中間申告の対象となるのは、株式会社や特例有限会社など普通法人となります。NPO法人は中間申告,納付の必要はありません。
また、最初の事業年度については中間申告の必要はありません。合併以外で設立された法人に限ります。
他に、中間申告・納税の対象とならないのは前期実績の中間申告による納付税額が10万円以下となる場合も対象となります。
法人税を中間納税して還付される場合とは?
中間納税となる法人税が還付されるのはどんなときなのでしょうか?
また、中間申告をしなくてもいい場合とは?
事業が赤字だからといって中間申告をしないと大変な事に!?中間申告や中間納税について紹介します。
法人税は正しく中間納税して還付加算金目当てとならないように
法人税の中間申告は前期の法人税額が20万以下の場合、予定納税額がその半分である10万以下となるため中間申告・納付は免除になります。
中間申告は、予定納税か仮決算かになりますがほとんどの会社は税務署や県・府税事務所、市役所から送付される前期の法人税額の半分にあたる予定納税額を納税しています。
仮決算で計算した法人税額を納税してもいいですし、税務署などから届いた予定納税額を納めてもかまいません。
しかし、仮決算をして法人税額が予定納税額を超える場合は中間納付税額の還付税額に還付加算金が付加されるので仮決算での中間納税はできません。
法人税で中間納税したものが還付となる「欠損金の繰り戻し還付」
前期までは課税所得が発生して、税金を支払っていたが当期に課税所得がマイナスとなり業績不振で時期以降も課税所得の発生が見込めないという場合には「欠損金の繰り戻し還付」の制度というものがあります。
欠損金の全部、もしくは一部を前期に繰り戻し、前期の課税所得と相殺して納付済みの法人税の還付が受けられるものとなります。
この還付を受けるには、青色申告書の提出と同時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出しなくてはいけません。
法人税を中間納税で多く納付した場合の還付の仕訳方
中間納付で払い過ぎた税金は未収法人税等という資産グループの勘定科目を使って記帳します。
決算で確定した、法人税が1万円であったときに、2万円中間納付していた場合は借方に法人税等、金額が1万円、同じく借方に未収法人税等、金額1万円となり、貸方に仮払法人税等仮払法人税等、金額2万円となります。
支払わなければいけない法人税は1万円なのに対し事前に中間納付として2万円支払っているのでこのように計上します。
払い過ぎた税金である、未収法人税等は後日税務署などより返してもらえるので資産勘定として借方に記帳となります。
法人税は中間納税を忘れずにきちんと納付!
中間申告書を提出しなければ、申告期限までに前年度実績による中間申告書が提出されたとして予定申告となります。前年度実績による中間申告を行なうときには申告書の提出は省略することができますが、申告期限に税額は確定するので納期限までにきちんと納付しましょう。
仮決算による中間申告を選択する場合は、申告期限までに仮決算とそれに基づいた中間申告・納付をしなくてはいけません。
中間申告や納付が間に合わなければ、前年度実績による中間申告があったものとみなされ仮決算による中間申告・納付は無効となります。
申告期限を守って仮決算とそれに基づいた中間申告・納付をするようにしましょう。
法人税を支払わなくてもいいと判断してしまうのは危険!
中間申告の時点で今期の業績が悪く納税額が下がることが明らかな場合においては、中間納税額を減らすことができます。
決算開始から6ヶ月間を1事業年度とみなして仮決算を行い、中間納税額を決定することができ赤字であれば中間納税額は0円となります。
しかし、中間納税額が0円であっても中間申告は必ず行いましょう。中間申告書の提出が無い場合は、予定申告方式となり前年度の確定年税額の半分を納税しなくてはいけません。
赤字だから税金はかからないというわけではなく、きちんと申告しなければ納税義務が発生し延滞税がかかる可能性があります。
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