消費税の納税義務者となった場合の手続き方法について解説!
2017.10.11
個人事業主として支払わなければならない税金の一つ「消費税」。しかし、納税義務者なのかどうかの判定基準があります。
納税義務があるかどうかを判断する基準期間とは?もし納税義務者となった場合は、どんな届出が必要となるのでしょうか?
個人事業主が課税事業者になった場合、そして納税義務者でなくなった場合に必要な手続きについて詳しく説明します。
スポンサーリンク
こんな記事もよく読まれています
-
確定申告を遡り申告する際の期限や源泉徴収票、必要書類について
確定申告は期限内に正しく申告することが最も大切ですが、様々な事情で確定申告間に合わない場合もあるでし...
-
確定申告で通帳のコピーは必要?青色申告するなら持参しましょう
確定申告をするときには銀行の通帳は持っていくべきなのでしょうか? 青色申告するなら、通帳とコピ...
-
確定申告の収入はいくら以上で申告が必要?申告期間なども解説!
毎年2月~3月に行われる確定申告。 人によっては手続きを行うことで還付金として戻ってくる場合も...
スポンサーリンク
消費税の納税義務者となる個人事業主について
個人事業主として消費税の納税義務があるかどうかの基準は「売上高」だと言われています。
ではその金額はいくらなのでしょうか?その金額を下回っていても納税義務者となることはできるのでしょうか?
消費税の納税義務者となる個人事業主の基準について説明します。
個人事業主が消費税の納税義務者となる基準とは?
消費税の納税義務者のことを「課税事業者」と言いますが。個人事業主が課税事業者になるか免税事業者になるかは「売上高」で決まります。
その条件は「基準期間(前々年)の売上が1,000万円を超えている。」「特定期間(前年の1月1日~6月30日)の売上が1,000万円を超えている。」のいずれかに当てはまる場合となっています。
消費税の納税義務者でない個人事業主でも消費税を加算して商品を販売することは可能?
もし免税事業者になったとしても、消費税を加算して商品やサービスの取引を行うことはできます。その場合消費税の分はもうかっているとも言えますが、反対にマイナスとなった場合でも還付を受けることができません。
個人事業主が消費税の納税義務者から免税事業者に戻る場合の手続きについて
基準期間の課税売上高が1,000万円以下となった場合は「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を提出することにより、免税事業者となります。
課税事業者を選択していた個人事業主が免税事業者に戻る場合は免税事業者に戻る場合には、事前(前課税期間中)に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しなければなりません。この場合は事前に提出する必要があります。
個人事業主が法人成りした場合の消費税について
以前は1,000万円未満の資本金で法人成りした場合、2年間は免税事業者になることができました。
しかし税制改正により、1年目は免税となりますが、2年目は上半期の売上が1,000万円を超えた場合は消費税を納税しなくてはいけないことになっています。
消費税課税事業者選択届出書を提出している場合の注意点
消費税課税事業者選択届出書を提出している場合に気をつけなければならないことがあります。
基準期間の課税売上高が1,000万以下となった課税期間があっても自動的に免税事業者とはならないことです。
「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しなければ「消費税課税事業者選択届出書」が有効となるので課税事業者となります。
消費税の納税義務者になった場合の届出について
消費税の納税義務者と判定された場合には届出が必要となります。
では、どんな届出書を提出しなければならないのでしょうか?その提出期限はいつまでとなっているのでしょうか?
消費税の納税義務者になった場合に必要な届出について詳しく説明します。
消費税の納税義務者となる場合に必要となる届出書の種類について
①消費税課税事業者届出書
基準期間による判定で課税事業者となる場合に必要な書類です。提出期限は決まっていませんが、判定が出たら提出するようにしましょう。
②消費税課税事業者選択届出書
免税事業者である場合でも、課税事業者を選ぶ場合に必要となる書類です。課税事業者を選択した場合は、最低2年間継続適用となります。
③消費税の新設法人に該当する旨の届出書
新設の法人の場合は、基準期間がなくても資本金が1,000万円以上であれば課税事業者となります。その場合に必要な書類です。
消費税の納税義務者の選択届出書の提出期限について
選択届出書や不適用届出書の提出期限は、原則「課税期間の開始する日の前日まで」となっています。
郵送の場合は12月31日の消印が押印されていれば有効となりますが、直接税務署へ提出する場合は12月31日は休日のため税務署は閉庁されています。直接提出する場合は注意しましょう。
消費税の納税義務者になった場合の届出は速やかに
「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」「課税事業者届出書」「事業廃止届」などの届出は、その事実が発生した場合は速やかに提出することになっています。提出により課税関係が変わるというわけではありませんが、提出義務があります。
消費税の納税義務者になった場合のメリットとは?
消費税の納税義務者となった場合の一番のメリットは、消費税の還付を受けることができることでしょう。
消費税の還付を受けることができるのは、売上にかかる消費税額が支出にかかる消費税額を上回った場合です。
設備投資にお金がかかった場合等に還付を受けられる可能性があります。
消費税の納税額を計算する2種類の方法について
《原則課税》
売上に含まれていて、お客様から預かっている消費税から仕入れなとに支払った消費税を差し引きして計算します。
《簡易課税》
基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者だけが使用できる方法です。
お客様から預かった消費税に対して、業種ごとに決められているみなし仕入れ率を乗じて計算します。
消費税の納税義務者でなくなった場合の手続き方法について
基準期間の課税売上が1,000万円以下になると「免税事業者」となりますが、その場合でも届出が必要となります。
書類にはどんなことを記載すればよいのでしょうか?その提出期限とは?
消費税の納税義務者でなくなった場合の手続き方法について説明します。
消費税の納税義務者でなくなった場合に必要な届出について
基準期間の課税売上高が1,000万円以下となった場合は「免税事業者」となりますが、そのためには「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」の提出が必要となります。
届出は「提出すべき事由が生じた場合に、速やかに提出する。」こととなっています。
その年の課税売上高が1,000万円以下となった場合、翌々年が免税となります。
消費税の納税義務者でなくなったが、その後課税事業者になった場合の注意点
簡易課税を選択している個人事業主が免税事業者となる場合、基準期間の課税売上が1,000万円以下であれば「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を提出しなくても自動的に免税されます。
しかし、多額の設備投資を行い再び課税事業者となった場合、原則課税であれば消費税が還付される可能性もあります。
必ずしもそうなるとは言えませんが、「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」と「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しておいた方が良いケースもあります。
「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」の書き方のポイント
〇「この届出の適用開始課税期間」
納税の義務が免除されることになるか課税期間の初日と末日を記入します。
〇「①の基準期間」
「この届出の適用開始課税期間」に記入した課税期間の基準期間(前々年)の初日と末日を記入します。
〇「②の課税売上高」
基準期間における課税資産の譲渡等の大家の額の合計額を記入します。
消費税の課税期間は短縮することができる
個人事業者の消費税の課税期間は、原則的には1月1日~12月31日までとなります。
この課税期間は短縮することが可能です。その場合は「消費税課税期間特例選択届出書」を事前に提出しなければなりません。そして2年間は継続する必要があります。
法人を設立するなら「課税事業者」を選択した方が有利となる場合も
設立当初に多額の設備投資を行う場合は「消費税課税事業者選択届出書」を提出した方が有利となるケースもあります。
新設法人は設立1期目と2期目は免税事業者となり、設備投資した分の消費税は還付されません。そのため
「消費税課税事業者選択届出書」の届出をすることで節税となる可能性があるのです。
- カネの悩み